今回の研修で最も印象に残ったのは、アメリカのワシントン州立大学薬学部のDon Downing教授の特別招聘公演であった。
アメリカにおいても、薬剤師の調剤のみでの仕事に限界が来ており、どうすれば患者のニーズに自身の欲求を満たす薬局業務を実現出来るかに、全力で取り組まれてきた氏の公演内容は、最も説得力があり、これからの日本の調剤薬局のビジョンが明確になったものであった。
「患者の健康に個人的に責任をもつと言うことは簡単だが、実際にそれを実行するのは容易な事ではない」
「何よりも重視しなければならないのは、薬を使用する患者であり、患者が使用する薬はその次である。」
「これから何をするかを正確に述べる事よりも、なぜそれをしているのかを述べることの方がはるかに重要である。」
「変化は常に困難を伴う。したがって自分の中で、変化を恐れる気持ちよりも、それを望む気持ちの方が強いということを確認すべきである。」
「自分にとっては必ずしも利益にならなくても、それが患者にとって最も有益であれば、実践の仕方を変えることを決断する。」
これらは、薬局の業務以外にも共通する内容だと思う。
ただし、氏が取り組まれた内容は、すぐに実現したものではなく、針の筵を歩くような、長年、辛抱強く続けてこられた内容だったことも述べられていた。
どんな困難な内容でも、信念をもって諦めずに行動し続ける大切さを改めて学んだ学会だった。
薬剤師 : O・K
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