わが国は、超高齢化社会に突入し、要介護者の増加・認知症高齢者の増加・人口減少・社会保障費の増加等、様々な問題を抱えている。
中でも、高齢者介護は、待ったなしの状況である。これが、社会問題化する理由は、3つ考えられる。
第一は、人口構成のバランスの変化である。介護を必要とする高齢者が増加した一方で、少子化により介護する若い世代の人口減少である。
第二に、担い手の問題である。これまで家庭内で介護を担っていたが、女性の社会進出や核家族化による世帯規模縮小の現象である。
第三に、医療技術の進歩により、介護を必要とする人が適切な医療・介護サービスを受けることにより、長生きできるようになった。
このような状況を踏まえ、団塊の世代が75歳以上となる2025年問題の対策として、「地域包括ケアシステム」の構築が必要とされている。
「地域包括ケアシステム」の目的は、高齢者が尊厳・個別性の尊重を基本に、出来る限り住み慣れた地域で在宅を基本とした生活の継続を支援することを目指し、要介護高齢者数の増加を踏まえたサービス全体量の拡充や、介護・医療・保険・福祉・市町村の連携が求められている。
現在、高齢者の多くが、出来る限り住み慣れた地域で生活を継続しているとは言い難く、比較的容易に施設入居が勧められている。その証拠に、特別養護老人ホームは毎年増加し、いつも満床である。特定施設やサービス付き高齢者向け住宅も、すさまじい勢いで増加している。高齢者が施設へ入らなければならなかった理由は何であるのか、在宅での生活が出来なくなった理由は何処にあるのかなど、出来るだけ住み慣れた場所で生活を継続すること実現するためには、現状の課題を明らかにする必要がある。
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