【はじめに】 我が国は超高齢社会をむかえるにあたり、地域・包括ケアシステムという、医療と介護のコンビネーションを一層推進している。つまり、医療は病院で治す医療である「病院完結型」から地域全体で治し支える「地域完結型」の在宅医療を提供できる体制の構築を計画している。この在宅医療を行うにあたり、我々薬剤師以外に医師や看護師、ケアマネージャーなど様々な職種が関与している。これらの職種がそれぞれの知識・技能を活かし、患者に適切な医療・介護を提供するためにも、相互に連携し情報を共有することが重要となってくる。 【方法】 当薬局で関わる在宅患者において、インターネット上のクラウドサービスを利用し、他職種との連携を図っている。掲示板への書き込みをもとに、看護師が測定したバイタルの状態や医師の診察、処方意図などを把握し、薬学管理に役立てている。また、薬剤師から、服薬の状況や残薬の状況、副作用などの気になる点を報告しディスカッションを行っている。 【結果・考察】 電話やFAXなどでは知りえなかった細かな内容まで他職種と情報を共有することができ、患者により深く関わることができるようになった。医師の処方意図の理解により指導もスムーズになり、患者の安心感にもつながっていると感じる。さらに、医療関係者だけでなく、患者の家族の方が参加している例もある。家族の希望や気になることに対し、関係者全員がその問題に取り組めるように関わっている。このシステムの利用により、勤務時間以外にも患者の新たな情報を知ることができ、情報を伝える側も気軽に些細なことまで伝えることが可能になった。しかし、このシステムも情報提供の手段の一つであることを忘れてはならず、他職種連携を行う上で、適切な時に適切な方法で連携をとり、患者へ適切な医療を提供していかなくてはいけない。また、コミュニケーションの基本は顔のわかる関係の上で成り立っていることも忘れてはいけない。
<問題について> 特別養護老人ホームでは、利用者の高齢化に伴い寝たきりや骨粗しょう症など状態が重度化する利用者が増加している。高齢者施設における事故として、以前は転倒や転落による骨折が大半を占めていたが、近年、日常の活動やケアに伴う内出血や皮膚はく離の件数が増加しています。また、オムツ交換や体位変換の際の骨折などの事例もよく見られる。 認知症の利用者で歩行可能である場合、転倒や転落のリスクがより高いと考えられる。また、誤飲や異食の可能性も高いため注意が必要となる。 利用者が自由に動き回ることによる事故のリスクは存在するが、利用者の動きを抑制するようなケアは、身体拘束につながる可能性があるため望ましくない。認知症の特徴を理解したアセスメントを行い、適切な対策を講じることが必要である。 今後は、認知症の利用者がさらに増加していくことが予想される。施設においては、職員が研修等により認知症の利用者に適切に対応するための専門的な知識や技術を修得し、認知症利用者のニーズに合わせた対応をすることが求められる。 介護保険制度開始直後の介護度平均は3.8でしたが、調査のたびに重くなり、現在は4.36になっている。また重度になった利用者が介護度5に滞留している。よって、同じ介護度5でも状態像に大きな差が出てきており、利用者の安定した身体状態を保つことの難しい状況。胃ろう、経管栄養の利用者が、増え続けている現状になっている。 施設は病院ではありません。医療ニーズに対して万能ではありません。しかし、利用者は毎日変化しますし、重度化傾向が高まっていくことに対して具体的な対応をすることが、利用者の生命を託されている場として求められている。その中でも、認知症患者の徘徊、転倒防止、看取りに、時間と労力を取られている現状がある。見守りに必須なのは、夜間におけるベッドからの離床検知という意見が多い。夜間は介護職員が手薄になる上、要介護者は寝室に居るために目が届かない状況になる。要介護者は基本的には寝ているが、生活リズムが乱れていたり、トイレに起きたりして暗いなかを動き回ると転倒のリスクが高くなるため、離床に気付いて駆けつけることが介護施設の日常業務となっている。現在でも感圧センサー や赤外線センサーを用いているところが多いが、要介護者が意識的に回避したり、日常業務の中で故障していたりして、誤報・失報が多いとの意見があった。こうした課題を解決し、誤報・失報を減らす事を出来ないか、ロボット介護技術を活用し介護職員介護負担軽減につなげたい。 ロボット介護の現状は、調査会社の矢野経済研究所が公表した「介護ロボット市場に関する調査結果 2013」によると、国内の介護ロボット市場規模は、2015年度に23億円、2020年度には349億8,000万円に拡大と予測している。 現在、経済産業省による「ロボット介護機器導入実証事業」の一環として、公益財団法人テクノエイド協会で、「ロボット介護推進プロジェクト」という名称で補助事業を実施している。 補助対象機器4分野(移乗介助・移動支援・排泄支援・見守り)があり、今回、見守り支援機器を実際に設置し改善できるか実施した。 センサーマット心拍・呼吸・体動をセンシングするマットです。 マットレスの下に敷いてご利用可能なので、ご利用者様の体に直接触れることがなく、違和感がない。うつ伏せ・横向きなど、様々な姿勢でもセンシングできます。マットの中身は空気で、電気を一切使用していない安心・安全設計です。780mm×550mmのベッドの下に敷きやすい大きさです。 特長として ●複数の要介護者を同時に見守ることが可能。 ●施設内各所にいる複数の介護従事者へ同時に情報共有することが可能。 ●昼夜問わず使用できる。 ●要介護者が自発的に助けを求める行動(ボタンを押す、声を出す等)から得る 情報だけに依存しない。 ●要介護者がベッドから離れようとしている状態又は離れたことを検知し、介護 従事者へ通報できる。 ●認知症の方の見守りプラットフォームとして、機能の拡張又は他の機器・ソフト ウェアと接続ができる。 まとめ 今後、特別養護老人ホームにて、11月より実際に設置し調査を開始します。 ロボット介護により、介護負担の軽減につながるよう継続して調査して行きます。
久々の日本晴れの中、日本社会医療学会に参加しました。
薬局部門は、在宅医療での口頭発表でした。 昨年と同じテーマでの参加でしたが、一層の進化があったと自負しておりました。
結果、昨年の介護部門が受賞した、恒吉賞を頂きました。 この快挙を励みに、来年も是非、参加したいと思い、充実した学会参加でした。 (タイヘイ薬局グループ・TM)
今大会のテーマが「地域の活性化から日本の医療と介護を元気にしよう」ということで、
様々な業種の方のお話をうかがうことができ、改めて他職種連携の必要性を学ぶことができました。 今回は見学での参加でしたが、会場の雰囲気を掴む良い機会となりました。 来年度は是非発表の立場で参加させていただきたいと思います。
(タイヘイ薬局薬剤師 Y.T)
去年に引き続き、今年も日本社会医療学会に参加させていただきました。 今回の発表は在宅における他職種の方との連携をテーマに行いました。 現在学生の方はよく学んでいると思いますが、薬局薬剤師も他の職種の方とコミュニケーションをとることが非常に重要になってきています。 今回、光栄なことに、恒吉賞という賞までいただくことができました。 この学会でも、様々な職種の方の発表を聞き、とても勉強になったので、今後の業務にいかしてさらに励んでいこうと思います。 (タイヘイ薬局薬剤師 T.S)
今回初めて日本社会医療学会に参加させていただきました。 今回初めての発表で、緊張しました。 個別発表で、高齢者認知症介護とロボット介護をテーマに発表しました。
介護職員の不足と認知症患者の増加を福祉用具とロボット介護により少しでも解決し、介護施設や在宅で安全に生活できるように支援していきたいと思います。
(タイヘイⅯ&Ⅽ 福祉用具専門相談員 K.Ⅿ)